東京地方裁判所 平成5年(特わ)2411号 判決
本籍
山形市大字下宝沢五五二番地
住居
千葉県松戸市南花島一丁目七番地の一〇
会社役員
鞠子隆
昭和一八年三月二六日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官今村隆、弁護人福島啓充(主任)、澤田直宏、石井春水各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四五〇〇万円に処する。
未決勾留日数中四〇日を右懲役刑に算入する。
右罰金を完納することができないときは、金二五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、千葉県松戸市上本郷三三九二番地に居住していたものであるが、自己の所得税を免れようと考え、江戸川中古自動車販売協同組合からの分配金収入を除外するなどの方法により所得を隠匿して、昭和六三年分の実際の総所得金額が三億一三六五万二五〇〇円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、平成元年三月一五日、同市小根本五三番地の三にある所轄の松戸税務署において、税務署長に対し、総所得金額が一三六五万二五〇〇円で、これに対する所得税額が二一五万一六〇〇円であるという虚偽の内容の所得税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、同年分の正規の所得税額一億七七五七万三八〇〇円と右の申告税額との差額一億七五四二万二二〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れた。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 中村孝夫(謄本七通)、飛田菊男(謄本三通)、中井伸行(謄本)、大澤登志子及び大島勝(謄本)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の分配金収入調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 所得税確定申告書一袋(平成五年押第一五六四号の1)
(法令の適用)
被告人の判示所為は所得税法二三八条一項(ただし、罰金刑の寡額について、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による。)に該当するところ、所定の懲役刑及び罰金刑を併科し、かつ、情状により所得税法二三八条二項を適用し、その所定の刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金四五〇〇万円に処し、刑法二一条を適用して未決勾留日数中四〇日を右懲役刑に算入し、右罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金二五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 朝山芳史)
別紙1 修正損益計算書
〈省略〉
別紙2 脱税額計算書
〈省略〉